12月のテーマ 「金融商品と税金」
火曜日更新 2001/12/11 10:00
第49回 株式の配当に対する課税

★ 株式の配当に対する課税

 株式の配当に対する課税は、配当所得という所得に分類されます。給料は給与所得、家賃収入は不動産所得、事業をしている人は事業所得、株式の配当は配当所得です。

 配当所得は、事業所得や不動産所得、給与所得などと合算されて、課税されるのが原則ですが、配当を受け取る際に、20%の源泉徴収がされています。また、受け取る配当の金額によって、申告不要制度や源泉分離課税も選択できます。配当控除という制度もあります。それぞれを整理してみましょう。

 まずは、配当控除についてみてみましょう。これは、確定申告によって、配当金額の一定金額を所得税額や住民税額から控除するものです。

 課税される所得が1,000万円以下の場合には、所得税は、株式などの配当所得の10%、住民税は2.8%が控除されます。課税される所得が1,000万円を超える場合には、その超える部分については、所得税が5%、住民税が1.4%控除されます。

 たとえば、給与所得500万円、所得控除額250万円、所得税20万円の人が、配当を1年間に10万円受け取ったとしますと、その配当に対する源泉徴収税額が2万円。計22万円の所得税を納めていることになります。確定申告をすることによって配当控除(10万円×10%=1万円)を受けられますので、配当を含めた所得税は20万円。ですから、配当から源泉徴収された所得税2万円の還付が受けられることになります。
□ 課税所得の計算

 (給与所得500万円+配当所得10万円)−所得控除250万円=260万円

□ 年税額の計算

 260万円×所得税率10%=26万円
 26万円−(配当控除1万円)=25万円
 25万円−25万円×定率減税20%=20万円(年税額)

□ 還付金額の計算

  
  1. 少額配当・・・一銘柄の配当が年10万円以下の場合を少額配当といいます。この場合には、配当を受ける際に源泉徴収された20%の税金を納めて終わりにするか、それとも、もらった配当を含めて確定申告をするかを選択することができます。配当所得には、先ほどの配当控除がありますから、所得の金額によって、少額配当でも確定申告をすれば、源泉徴収された所得税が還付される場合があります。配当を含めた課税所得が900万円以下の人は、還付されるので、確定申告をしたほうが有利です。なお、住民税は非課税です。

  2. 中額配当・・・一銘柄の配当が年10万円を超え50万円未満の場合を中額配当といいます。20%の源泉徴収を受けて確定申告をするかわりに、35%の源泉分離課税を選択することができます。どちらか有利なほうを選択することができるわけです。どちらが有利かは、その人の所得によります。総合課税をした場合の税額が、分離課税の税率の35%を超えるかどうかで判断します。つまり、配当所得を含めたその人の課税所得が1,800万円を超えると、その超える部分について37%の税率で課税されますので、源泉分離課税を選択したほうが有利となります。1,800万円を超えない場合には、20%の源泉徴収を選択して確定申告をしたほうが有利となります。 20%の源泉徴収でも、35%の源泉分離課税を選択した場合でも、住民税は総合課税となります。

  3. 高額配当・・・一銘柄の配当が年50万円以上の場合には、すべて確定申告が必要となります。20%の所得税が源泉徴収されますので、確定申告をして清算をすることになります。もちろん、配当控除の適用があります。住民税も総合課税されます。
 以上が、株式の配当に対する課税方法です。ただし、発行済株式総数の5%以上を所有している場合には、源泉分離課税は選択できません。配当所得は、自分の所得によって、受け取る配当金額によって、また、確定申告をするかしないかによって、有利不利がありますので、よく検討してみてください。

税理士 朝倉令子(あさくられいこ)
昭和33年4月生まれ
昭和57年慶応義塾大学経済学部卒
昭和60年税理士登録
昭和61年朝倉会計事務所 開設
著書[会社幹部のための決算書の読み方」(税務研究会)(共著)[簿記の基礎」(有斐閣)(共著)[決算書の分析的な読み方・見方」(税務研究会)(共著)